法定相続について

相続の基本は民法に、条文で見る相続、10分でわかる法定相続

法定相続について

法律通りの相続って?法定相続を見てみよう

このサイトのメインテーマである「相続」という制度ですが、一体どんなものなのか一緒に見ていきたいと思います。
「相続」は「人の死亡」と共にスタートする制度です。
こう書くとなんだか衝撃的な話ですが、人は生活していく上でたくさんのものを所有しています、住む家や生活するためのお金、車、お気に入りの会社の株式や大好きなゴルフのための会員権などです。
相続とは、あるものを所有している人が亡くなってしまった後、その人が人生でこの世に築いた大切な所有物をしかるべき人に引き継いでもらうための制度です。
相続に関してのルールは民法という法律によって定められています。
民法の定めを一言で簡単に言ってしまえば、「亡くなった人の財産をだれがなにをどれだけ引き継ぐ権利があるか」です。
これに関して細かく規定しているのが、民法「第5編」になります。基礎的な部分を少し見ていきましょう

相続は、死亡によって開始する。

相続は、被相続人の住所において開始する。

この様な民法の定めにより相続は人の死亡でその人の住所地において発生することになっています。

民法条文886条~895条、あなたの法定相続人は?、誰が財産をもらえるのか

相続は亡くなった人が持っていた財産を誰かが引き継ぐ制度です。
この誰かを定めているのが民法886条~民法895条の相続人というところです。
色々と書かれているのですがおおまかにまとめてみると、「法定相続人」は次の通りです。「配偶者」つまりあなたから見て夫OR妻、「子」、「直系尊属」あなたからみて実のお父さん、お母さん、兄弟姉妹です。内縁関係の夫や妻、養子縁組していない配偶者の連れ子などは含まれません。法定相続人以外の人に財産を引き継家もらう方法は後ほど解説いたします。
さらにこれらの法定相続人には順位がありすべての人が平等に相続人となる訳ではありません。
図にするとこのようなイメージです。
相続関係図
相続人の順位はこのようになっており、上位の順位の相続人がいる場合はそれより下の順位である者は相続人にはなりません。
 

あなたの相続人を確定するためのチェックポイント

配偶者はいますか?

配偶者いればその人は相続人として確定です。配偶者がいる場合もいない場合も次にチェックすべきポイントは子供がいるかです。

第一順位について

子供はいますか?

子どもがいる場合、その子は相続人確定です。
子どもが既に亡くなってしまっている場合は孫がいれば孫が第一順位の相続人になります。次のチェックポイントに進むのは子供または孫がいない人です。(第一順位は孫以降にも代襲します:後述)

第二順位について

実のお父さんまたはお母さんがいますか?

配偶者がいて子供または孫等の第一順位がいない場合または配偶者も第一順位もいない場合は、実のお父さんまたはお母さんが健在であれば相続人確定です。
次のチェックポイントに進むのは、子供、孫、お父さん、お母さんがいない人です。
お父さん、お母さんがいない場合でもおじいちゃん、おばあちゃんが存命ならおじいちゃんおばあちゃんが第二順位の相続人となります。

第三順位について

兄弟姉妹はいますか?

第一順位及び第二順位がいない人で兄弟姉妹がいる人は兄弟姉妹が相続人確定です。
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、甥姪まで権利があります。

まとめるとパターンとしては8パターンです。

配偶者がいる場合
1. 配偶者 + 第1順位者(子 OR 孫)
2. 配偶者 + 第2順位者(父母 OR 祖父母)
3. 配偶者 + 第3順位者(兄弟姉妹 OR 甥・姪)
4. 配偶者

配偶者がいない場合
5. 第1順位者(子 OR 孫)
6. 第2順位者(父母 OR 祖父母)
7. 第3順位者(兄弟姉妹 OR 甥・姪) 
8. 法定相続人がいない

また先ほどから何度か出ております「子がいなければ孫・兄弟姉妹がいなければ甥姪」という制度は「代襲相続」といい民法887条2項、889条2項に規定されています。
子の代襲相続には再代襲があり、孫がいない場合はひ孫さらにその後も代襲しますが、兄弟姉妹の代襲には再代襲はなく甥姪までで代襲は終わりです。

民法条文900条 法定相続分、どのくらいの財産が貰えるのか

次に上記のような法定相続人がどのくらいの財産を相続する権利があるのか見てみましょう。

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

相続人にどのような割合で相続財産を相続させるのかは被相続人が決めることなので自由なのですが、被相続人が配分を決めていなかった場合に備え民法は、相続人が相続財産に関してどのくらいの割合で権利を持っているかを規定しています。
ここで出てくるのが、「法定相続分」というきまりです。
法定相続分とは、民法に規定された相続割合です。
亡くなった方が、分け方をきめていなかった場合はこの割合または相続人同士の協議で決定された割合で相続されます。
法定相続分での相続の場合は不動産等もきっちりこの割合で、相続人全員が「共有」で権利を持つことになります。
例えば、相続人が配偶者と子の場合の法定相続分は配偶者2分の1、子2分の1です。

例 相続人が奥さんと子ども二人で相続財産2000万円の場合なら奥さん1000万円、子供A500万円、子供B500万円です。

2 配偶者と父母が相続人の場合の法定相続分は配偶者3分の2、父母3分の1です。

例 相続人が奥さんと父母で相続財産3000万円の場合なら、奥さん2000万円、父500万円、母500万円です。

3 配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分は配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1です。
例 相続人が奥さんと兄さんで相続財産4000万円の場合なら奥さん3000万円、兄1000万円です。

その他の相続のルール、相続財産とは何か

亡くなった人が持っていた財産がなんでもかんでも相続されるわけではありません。
何が相続財産になるのかは民法が定めています。

先ほどは「誰に」の部分を見ていきましたがここでは「何を」の部分を見ていきましょう。
相続財産つまり相続人に受け継がれる財産を書き出してみるとざっと以下のようなものが代表的なものになります。

不動産(土地、建物)、現金、貴金属、車、家具、書画骨董、預貯金、有価証券(株式、国債、地方債、社債、手形)、貸付金などの金銭債権など
また借金や連帯保証などの負の財産も相続してしまいますのでこの点は注意が必要です。
 よく勘違いされている点に生命保険金の扱いがあります。この点に関しては税金に関する法律と民法で扱いが違うためよく間違われますが、保険金は契約により支払われるものなので受取人に指定されている人が相続人に分ける必要はありません。
 税法では生命保険金はみなし相続財産と呼ばれる課税の対象になる場合があります。
借金や連帯保証など負の財産について補足しておきますと、これら負の財産を必ず相続しなければいけない訳ではなく、「相続の放棄」や「限定承認」という制度があります。
これらの制度には注意点がたくさんあります。例えば借金などの負の遺産がプラスの相続財産よりも多い場合は自身のために相続が開始したことを知ってから3か月以内での相続放棄などの手続きが可能なのですが、
また相続人が相続人としての振る舞いをしてしまった(例えば不動産の名義変更)場合には相続放棄はできなくなってしまいます。
 相続準備において大事な点は、負の遺産があることを相続人に隠さず専門家に相談しながらいざという時の対応を決めておくことです。
 相続が発生するときは、被相続人が亡くなったときです。そのような悲しい状態下で初めて相続財産の中に借金や連帯債務を発見したとしたら動揺して冷静に対処できないかもしれません。
 お金なんかない、うちには財産がなんかないとばかり伝えずに、ある時期になったら相続財産について相続人に詳しく伝えておく事も大事な相続準備のひとつです。

まとめ、結局相続って?

今回は相続について誰が何をどのくらい相続する権利があるかという部分を見ていきました。
これらを基本にして特別受益や寄与分、遺留分などの定めでさらに細かな相続のルールを民法では定めています。

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