相続における養子と実子

相続と養子、実子との違いは?後妻の子や養子にした孫、ポイント整理

相続における養子と実子

法律で言う養子って?言葉の定義を確認しよう

相続において子どもが関係してくることは、いくつかあります。
例えば子どもは、親の法定相続人になります。
相続税の基礎控除は3000万円+法定相続人の数×600万円です。
となってくると「養子」、という立場の場合、どうなってくるのでしょうか?
民法で養子は次のような規定になっています。

養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

養子縁組は市役所などで養子縁組届を提出して行います。
養子を迎える立場のものを養親と言います。
養子縁組には普通養子と特別養子とがありそれぞれ特徴と条件があります。
これからその内容は見ていきますが、冒頭の結論としては、民法に記されている通り養子と養親の関係は「血族間におけるのと同一の親族関係を生じる」ですので、養子も実子と同じく養親の法定相続人となります。
ただし相続税の基礎控除に関しては、実子がいる場合は一人、実子がいない場合も二人までしか600万円×法定相続人の数に養子はカウントされませんのでたくさん養子を迎えて相続税の基礎控除の額を無限に大きくすることはできません。

実子と養子、嫡出子と非嫡出子

ここではまずややこしい言葉の意味を見ていきましょう。

実子
親との間に血縁関係がある子を指し多言葉です、血縁・血族とは文字通り血の繋がりがある場合の関係性を示しています。
養子
養子は民法上の手続きによって血縁と同じ親族関係を作るもので、養子と実子は親に対する関係性は同じになります。
嫡出子
嫡出子は法律上の婚姻関係にある男女の間で生まれた子どもで、実子になります。
非嫡出子
非嫡出子も実子ですが、親に法律上の婚姻関係が無いものをいいます。

この他にも養子と間違われやすい制度に里親制度があります。
里親は民法ではなく児童福祉法に定められた制度で、里子は里親の法定相続人にはなりません。

まずは違いを整理、実子と養子、嫡出子と非嫡出子

次にそれぞれの違いをみてみましょう。

実子と養子の違い
法律上の違いはほとんどありません。法定相続分や遺留分なども実子と同じく養子にもあります。ただ前述のように相続税の基礎控除をを決めるに当たっては実子は何人でもカウントされますが養子には制限があります。
嫡出子と非嫡出子の違い
どちらも実子である嫡出子と非嫡出子ですが、これまで相続において大きな違いがありました。非嫡出子の場合も認知があれば相続人となりますがこれまでその相続分は嫡出子の半分とされていました、しかしその規程に関して違憲判決が出たのを受けて民法が改正され、これまで非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の半分としていた規程は削除され,嫡出子と非嫡出子の相続分は同等になりました。平成25年9月5日以後に開始した相続に関しては嫡出子と非嫡出子の相続分は同等のものとなります。

どんな場合に多いのか、養子にする場合、税金対策?

さて話しを養子制度に戻しましょう。
相続において養子制度はどのように利用されているのでしょうか?
○子連れで再婚した場合相手の連れ子を養子とする。
そうすることで親の再婚によりできた親との間で実子と同じ関係が生まれ、相続においても実子と変わらず扱われます。
○跡継ぎの孫を養子に
事業を行っている場合跡継ぎの孫を養子にして、祖父又は祖母などと親子関係を作り相続をコントロールしている手法もあります。
孫を養子にできるのか?と言うところですが、養子縁組をするための条件は以下のようになります。

  • 養親になる者が成年である事、未成年者は養子をとることができません
  • 養子になる者が養親になる者よりも年下である事、また尊属で無い事、祖父は孫の養子にはなれません
  • 養親になる者が結婚している場合は配偶者の同意が必要です。
  • 養子になる者が未成年の場合で養親になる者が結婚している場合には配偶者と共に養子にする事

など様々な条件がありますし他にも色々と条件があるのですが、祖父祖母は孫を養子にすることができます。
相続税の基礎控除は法定相続人の数が多いほど控除額が大きくなりますので相続税に関する税金対策で養子制度を利用する場合ももちろんありますが、そのカウント人数には制限があります。

特別と普通?養子の違い

さてここまで養子と相続についてお話してきましたが、実は養子縁組には2種類あります。
1つが普通養子縁組、もう一つが特別養子縁組です。
特別と普通でどう違うのかと言いますと、実の親との関係性が違ってきます。
当然ですが養子となる子にも血縁関係のある実の親、実親がいます。
お祖父ちゃんと孫を例としてみるとお祖父ちゃんの養子となった孫にもお父さんとお母さんという実親がいます、この実親との関係性が残る者が普通養子縁組、残らないものが特別養子縁組です。
普通養子縁組であれば子はお祖父ちゃんの養子であると同時にお父さん、お母さんの実子ですが、特別養子縁組ではお祖父ちゃんの養子であありお父さんお母さんの実子ではないという事になります。(あくまで例としてこのパターンで話しています)
特別養子縁組をすることができる条件は以下の通りです。
○家庭裁判所の審判を経て実施
○養子になる子の年齢は原則として6歳未満
○養親となる者は結婚している25歳以上のもので夫婦で養子にすること
○離縁は原則禁止
この様な条件で特別養子縁組にされたものは戸籍にも長男や長女のように実子と同じ記載になります、普通養子の場合は養子や養女という記載となります。

相続における養子と実子の扱い

ここからは相続時における養子と実子の関係を詳しく見ていきましょう。

おじいちゃんの養子になった孫、実親との関係は?

おじいちゃんお養子になった孫は当然お祖父ちゃんの法定相続人になります。
実子と同じ扱いになるので当然です。
お祖父ちゃんの実子がお父さんの場合にはこの養子になった孫はお祖父ちゃんの相続時にはお父さんと同じ権利を持つことになります。
ではお父さんの相続人にはなれるのでしょうか?普通養子縁組の場合は実親との関係性も残るのでこの子はお祖父ちゃんの養子であると同時にお父さんの実子ですのでお父さんの法定相続人でもあるのです。
特別養子縁組の場合は実親との関係性は消えてしまうので、お父さんの法定相続人にはなりません。

離婚した場合、元配偶者と子どもの相続

離婚の場合を考えても、再婚相手と養子縁組をしたからといっても普通養子縁組の場合には元配偶者が死亡した場合に子はその相続人となります、元配偶者が借金ばかりするような人の場合は注意しておきましょう。
子どもには、もし元配偶者の借金を相続するような事態になったら相続放棄の手続きを行うように教えてあげましょ。

連れ子と相続、相続させたい?相続させたくない?

お互いに連れ子がいて再婚する場合などは、相続の事も多少考慮して養子縁組などを検討してみてもいいかもしれません。
ですが相続には遺言書や民事信託などでコントロールする方法もありますので、出来る限り子どもの気持ちを優先して考えてあげて欲しいと思います。

まとめ 相続と養子

相続において養子は実子と同じ扱いになる事、相続税の基礎控除における人数カウントに関しては養子の人数は制限される事をチェックしておきましょう。

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